「バカに……しないで。」
確かになくなっちゃったけどっ!
「お前ってプライド高けぇな。まぁいいさ。どんなに世話かかる奴か見てやるよ。世話かかるってことは小2くらいか?」
「ううん。幼稚園。」
目をなるべく合わせないようにして言った。
「ん。んじゃ明日土曜日だろ?連れてこいよ。」
あ……。
明日って土曜日だったんだ。
学校休んでたから忘れてた。
「いいの……?多分迷惑かけちゃうよ?」
「いいさいいさ。言ってるだろ?俺は妹が欲しかったんだって。」
さっきまでの言い争いはいつの間にか自然消滅。
またさっきまでの優しい言い方の郁哉に戻ってた。
「今日と……同じ時間でいい?」
「んーできたら遅めがいいかな?」
平日よりも休日のほうが忙しいのかな?
あ、そっか遅くまで夜更かしするから朝は無理なんだ。
いや……でも学校休んでるってことは平日も休日も一緒だよね?
どうしてこう郁哉は謎ばっかりなんだろ………。
「分かった。じゃあ連れて来るね。」
一応返事だけはしてスケジュール帳に書き込んだ。
「お、そんなとこは真面目なんだな。」
クスクス郁哉に笑われた。
なんだか郁哉の顔が見れなくてもう何も言わずにただひたすら明日ことをメモした。
しばらくはセミの大合唱が公園中に響き渡っていた。