「あ、もう昼だ。」
郁哉のその言葉でふと時計を見た。
郁哉と話して楽しいはあっという間に過ぎ、いつの間にか時計の針は12時を指していた。
「俺……昼にはちゃんと戻らねぇといけねぇんだよな。」
へぇ……。
郁哉の高校に行ってないことはちゃんとお母さん公認なんだ。
「それじゃあ早く戻らないと。私は大丈夫だから。」
「俺の勝手ですまねぇな。」
「いいよ。人それぞれ事情はあるんだから。」
本当はちょっぴり寂しかったりして……。
とりあえず郁哉が帰らないといけないんだったら私はわがままなんて言ってられないもんね。
「んじゃな。君と友達になれてよかったよ。」
ありがと……。
海斗はそんなこと一言も言ってくれなかったなぁ……。
そう考えると郁哉はとっても良い人。
優しい。
笑うとかわいい。
「ん?どうかした?」
「いや、別に?」
「……そう?じゃあ。」
首をかしげながら郁哉は家に帰って行った。