*蘭seid*

ついに腫瘍は全身に広がっていた。体中が痛くて動けない。寝返りをうつことさえ、困難で寝たきり状態。

遠のく意識の中私は廉宛の手紙をあと少しで尽きるスタミナを振り絞り書いた。

《廉へ》

蘭がいなくなった今、そっちの世界はどうですか?蘭は、廉がいなくて寂しいです。本当はね、留学してほしくなかったんだ。でもそれ以上にばれたくない秘密があったの。それは乳がんになったということ。それだけは絶対に知られたくなかったの。心配かけたくないから。せっかく戻れたのにごめんなさい。蘭のせいで一緒に居られる時間がなくなってしまった。

なんで蘭が癌にならなきゃいけないの?ずーっと我慢してたんだよ?廉が帰ってくること祈って。神様は何故いたずらしかしないの?蘭はそんなに悪い子だった?幸せになってはいけないの?

会いたいよ……。会ってもう一度しっかり抱き寄せてほしい。蘭はいつまでも待ってるから。幸せにならなきゃダメよ?蘭の分まで。廉の人生に重みを作ってしまって本当にごめんなさい。

《廉が大好きな蘭ちゃんより》

自分で書いているけど、涙が出てきた。