「…ここが分からない」

「ん。…具体的にどこが分からないんだ?」



兄は丁寧に優しく教えてくれた。
あたしを見下すこともなく、あたしに合わせてくれた。
…あたしは間違っていた。
彼はあたしのことをどうでもいいなんて思ってない。
彼はあたしのことをちゃんと考えてくれていた。
きっと、感情を表に出すことが苦手なのかもしれない。
それならあたしも同じだ。
人と接するのが慣れない。
だから、彼とも目を合わせられない。
でも、彼なら大丈夫かもしれない。



あたしはチラッと彼の顔を見た。
とても凛々しくて、真剣な表情をしていた。

いつの間にか、彼に心を許していた。