長閑な国の、谷の上。


それはそれは
大層立派な王様がいました。


王の名前は少年K。


幼い頃、周りの人々から妬まれ、
Kはいつも1人でした。


1人が叩けばもう1人。
2人が叩けば3人に。

そうしてKはいつも追いやられていました。


Kはそんな人々に負けるものか、と、
1人でも大丈夫なように強くあろうと努めたのです。


やがてKは国の核と言える王となり、
人々は掌を返すようにKを讃えました。


Kは嬉しかった。
みんなが自分を見ている。
みんなが自分を拍手喝采で迎えるのだから。