それはいつもの夜だった。


ふと体を起こし、苦しい苦しいと
もがく少年の背中を、
少女は優しくさすってあげる。


「僕はもうだめなんだ。」


少年がいつにもなく弱々しくそう呟いた時、
少女はため息にも似た息をついて口を開いた。


「王様の話をしてあげる」


少年は訳が分からないと訴えるような顔を見せ、
少女の言葉を待った。