「その案、採用」

「はい、もういい加減分かってくださいよお願いですよ先生。生徒からの人気ガタ落ちですよ――――って、うん?」


イマ、ナンテ?

 


「だからお前の言い分をのんでやるから急用ならさっさと済ませてこい。1時間目始まんぞ」

「あ、ハイ」

 


うーんと、なんかあっさりオッケーもらっちゃったよ。
なんだ先生、案外物分かりいいんだね。いい子いい子。


これなら今すぐあれを確かめてこられる。
あたしは立ち上がってウキウキ気分で歩みを刻み始めた、その時。

 


「……まさか、」

 


フードマンがポツリと声を発して、あたしの足を止めた。
肩越しに灰色のフードを見ると、その頭が少しこちらを向いた。
 

相変わらず、暗くて顔はよく見えなかった。
あのさ、室内だからはよ外せよフード。

 


「2組の転入生見に行こうとしていることが急用とか、言わないよね?」

「あはは、そのまさかだったりしてー」

 


あたしがブイサインを向けると、ついで軽い吐息が返された。


 


「ホント……、アホだね」