「じゃ、黒崎の席は窓側の端な」

「はい」

「分からんことがあったら隣はいないから前の席の孤影、……じゃなくてもう1つ前の佐藤に聞け」

 


ちょっ、先生!
頼りなさそうなフードマンを飛ばすのは分かりますけど
そこはフードマンの隣で次に近いあたしの名前を言うべきでしょ!?

 


あたしをスルーってどんだけあたし頼りないの!?
これでも女の子にしょっちゅう頼られてるよ、ねぇ?

せめてあたしをチラッとでも見ようよ視界に入れられてないのは辛いです!


 

まぁ分からないこととかで頼られてもあたしは女の子にしか対応しないから、
どっちにしろ意味ないけどさ、えへへへへ。最低? え、どこが?

 


「んじゃこれで終わりー。おい飴森は前来いよぉ」

「あ、先生。そのことですが」

 


あたしはサッと手を挙げた。

大事なことは早く短くきちんと、相手の目を見て伝わるように言わなくちゃね。
小さい頃母さんに嫌というほど言われました。

 


「ちょっと急用ができたので、放課後にまとめて叱ってください」

「あぁ?」


 

うんうん、怒りたい気持ちは分かります。
ですがここは大人の取引といきましょうやダンナ。

 


「先生にとって手間が省けてさらに一度しか叱らないって要領いいでしょう!?」

「……おいおい飴森ぃ」


 

え、まさかこれでも怒る?

先生にとってメリットばかりなんですけどあたしだってしたいことがあるんですよ。
理解してくれないなんて先生の分からず屋! だから奥さんと上手くいってないんですよ!