ジリリリリと耳元で煩く目覚まし時計がなった。俺は低血圧で朝が苦手だった。寝起きでまだ意識がはっきりしてない分、いつもより機嫌の悪い朝になった。
いつもなら朝が苦手でも数年かけて早起きをする習慣を身につけていたおかげでアラームが鳴る前には起きている。
アラームが鳴ってから起きるのなんて何年ぶりだろうか…と、そんなことを考えている間にも時間は過ぎていく。受験生の僕には一回の遅刻も重大だった。
颯爽と階段を駆け下りると母が台所で洗い物をしていた。母は俺が起きてきた事に気づくと、
「あら、おはよう。今日は遅いわね」と微笑みながら言った。
いつもは父と同じ時間帯に家を出るが、父は見当たらない。改めて事態の深刻性に気づく
机の上には朝食並べられているが、母に「ごめん！俺急ぐから！」と言い残して寝癖もろくに直さないまま家を出た。
俺の家と高校は電車で3駅ほどの距離だ。息を切らしながら電車に駆け込むと、幼なじみの紗穂がいた。
「おっ！ゆうとじゃん！どうしたの？今日は遅いじゃん！寝坊？」
とにやにやしながら聞いてきた。
「うるせーな。」と言うと紗穂は
「あーはいはい。黙りますぅー。」とふくれながら言ってきた。
その後無言のまま電車を降り、急いで学校に向かった。