「じゃあ、ご飯食べよう?」



田中くんは授業が終わり立ち上がり、私に声をかけた。



「う、うん」



私ものろのろとお弁当を持って立ち上がる。



その時、



「いたいた、田中くん!」



聞き覚えのある、今、1番聞きたくない吉田先生の声が聞こえてきた。

私はその声に気づき、私は慌てて教室のドアの後ろへと隠れた。

田中くんは廊下に出ているから、田中くんと吉田先生からは丁度死角になる場所。



「これ、忘れ物よ」



「ありがとう」



「全く、現代っ子なのに携帯を忘れるとか。バカなのかしら?」



田中くん…吉田先生の家に携帯忘れたのかな?…

脳裏に浮かび出す、田中くんと吉田先生の仲良く笑い合う光景…

私はそんなことを自然と想像していたのだ。