そのまま男は校庭側じゃない方に歩いて行った。
いつも私は校庭側しか見ないし校庭側に行って上から校庭を見下ろしているから
今まで気づかなかったんだろう
校庭側じゃない方の端には、大きめの黒いソファーが2つ置いてあった。
男はそこに寝転んで
前にあるもう一つのソファーを指さした。
「ここ座れば?」
と言われ私は目の前のソファーにちょこんと座った。
長い沈黙。
寝転んで空を見る男をじーっと見ていると
「なに?」
とチラッと顔を向けた男と目が合った。
「え…っと、さっきも昨日もありがとうございました。」
そう言うと男は「別に。」と顔を空に向けて目を閉じた。
わわっ、まつ毛ながっ!とか一人で思っていると
「お前さ…俺の事怖くねぇの?」
目をつむったままポツリと呟いた。