半分以上登ったときに右上から覗く男に
「フッ…お前やっぱどんくせぇな。」
そう言われてムキになり
「どんくさくな…」
その時、左右の足がズルッと階段から足が滑った。
そんなに力を入れてなかった両手は一瞬の出来事に反応できずスルッと離れた。
やばい…
そう思ったとき
ガシッと右腕が何かに掴まれた。
上を見ると男が私の右腕を掴んでいた。
この人やっぱり…
「マジでどんくせぇな。ほら」
と左手を差し出した。
「?」
理解できず男に右腕を掴まれたまま宙に浮く私。
「はやく左手貸さねぇと右腕離すぞ。」
そう言われ急いで左手を男に差し出すと
ギュッと握られた。その時何故かドキッとした。
そのまま男は引き上げてくれた。
ぶっきらぼうな冷たい言葉だけど
やっぱり昨日も助けてくれたんだ。
そう思った。