馬車は街の中に入っていく。



気のせいか…街の人達がみんなこっちを見ているような…



馬車の小さな窓から外の様子を眺めていると、街の人達に手を振られた。


えっと……これは振り返すべき?



これ、私に対してじゃなかったらかなり恥ずかしいけど。



小さく振り返してみると、手を振っていた人達がさらに大きく振り返してきた。



何故だか、ものすごく嬉しそうだ。



ほ…私宛てだった。



初めて見る街並みに、心は不安でいっぱいだったけど、どこかワクワクしてる自分がいた。



「さ、着きましたよ。」


「は…はい。」



ついに…私は牢屋に…



イベリスに手を引かれて馬車を降りると、目の前には、まさしく城が…



すげ…本当にお城だよ…


一度住んでみたいもんだ…




『ユナ様~!!』




城に一歩入った瞬間、女の人が私を呼んだ。