「ーーあの日、私はユナ様が城から抜け出したことを知っていました。

いつものことでしたし…あとですぐに迎えに行くつもりでした。

しかし…私が迎えに行った時、そこにユナ様は居なかった。

今日は違う場所にしたのかと、周辺を探しにいきました。

しかしユナ様は見つからず、もう一度花畑に戻ってみることしたんです。

そしたらーーー」



「私が…いた?」



イベリスは頷くと、少し涙声になって再び話し始めた。



「最初に貴方を見たとき、一瞬目を疑いました…本人かとさえ思った……でも……」



「自分の愛する女性を見間違える訳はない……か」



リュウがもの悲しそうに言う。


イベリスはそこまでユナ姫を愛していたんだ……



お父さんやお母さん、お兄ちゃんも誰も気付かなかった私の正体を……



「でも…気付いていたのに、どうして私をユナ姫として城に?」



その場で私を問い詰めることもできたのに…



「ユナ様の代わりにユナ様によく似た貴方がいた…風変わりな姿を見て、ユナ様が何か計り知れない物事に巻き込まれたのでは…と思いました。

ユナ様が無事に帰る道を造るのは貴方だと。

だから私は、貴方をユナ様として城に迎え、ユナ様が何処にいるのか探ろうとしていました。」