「ユナ様!?」
遠くから私の名前を呼ぶ声と共に近づく足音。
イベリスだ。
「ユナ様!どうされました!?」
虚ろな目の私をイベリスは大きくゆさぶり、視界が歪む。
「……っ!!リュニウス王子!ユナ様にいったい何を!」
イベリスはリュウに掴みかかり、今にも殴りそうな勢いだった。
「落ち着け!イベリス!」
「落ち着けません!ユナ様をお守りするのが私の勤め!いくら王子でもそれはかわりません!」
目の前でリュウとイベリスが揉み合っているのに、私の体は地面にくっついたまま離れない。まるで人形になったように。
『…イ……ス…!』
その時、頭の奥で声がしたような気がしてはっとした。
「…ユナ姫?」
聞き覚えのあったその声は、ユナ姫の声だった。
『…イベリ……ス!……』
次ははっきりと、彼女がイベリスを呼ぶ声が聞こえた。
「ユナ姫!?どこ!?」
気がつくと私は走り出していた。声のする方へ…ユナ姫の元へ…
「ユナ!?」
「ユナ様!?」
後ろから二人の声が聞こえたきがしたけど、構わず走った。