「それじゃあ、和広くん。美希をお願いしてもいいかな?」


 そうだ。
 伊達和広くんだ。


 私よりもひと回りもふた回りも大きい身長で、長い間使っていたせいか、ところどころ傷ついているランドセルをしっかりと背負っていた。



 人懐っこそうな大きな瞳で、ふわふわした柔らかそうな髪の毛をもっていた。



 多分、すごくモテモテなんだと思う。


 幼いながらに思ってた。


「はいっ! じゃあ、美希ちゃん、行こう?」

 

 きらきらと眩しい微笑みを私に向けてきた。



 私は何にも言えずに、


 ただただ班長さんの差し出された手を握っただけだった。