「あら、班長さん」



 お母さんの私をつかむ力が少しだけ緩んだ。



 この人は、私が加わることになった班の、リーダー。


 つまり、班長さんだ。


 入学式だったその日の夕方にわざわざ私の家まで来て相拶に来てくれたんだった。


 えっと、確か、名前は……。


「班長さんなんて、やめてください。僕、今年で初めてなんです」


 照れくさそうな笑みをお母さんに向けた。
 すごく、爽やかだ。