「私、やっぱり走って帰ります」


私がそう言ったら龍が黒い瞳で睨んできた。


そして


「さっきの威勢はどうした?」


夜の暗い道に龍の低い声が響いた。


「あぁ?」


突然、喋りだしたからビックリして自ら本性をバラすような、女の子らしくないセリフを言ってしまった。


その時。


龍がフッと笑った気がした。


そして


「さっさと乗りやがれ」


ピクッ。


この野郎。


この男に1発か2発お見舞いしたくなる。