「ただいま」



ローファーを脱ぐと、目の前にある階段を上った。


いつもはリビングに寄るけど、なんだか今日は気力がなくてそのまま部屋へ直行する。


部屋に入るとすぐに、机の隅に置いてあるレターセットが目に入った。


それは、この前雑貨屋さんで買った涙のしずく模様の空色のレターセット。



なぜかキヨ君の顔が脳裏によぎる。



面と向かって告白なんて出来ないし、思ってることをうまく言えるかもわからない。


だけど、手紙なら思ってることを全部伝えられる。


強くて優しいキヨ君のことが好きだって。


大好きなんだって。


ラブレターを渡してみようかな。



でも。


……迷惑かな?


友達とすら認めていないわたしからもらうなんて。


うっとおしいと思われない?


ううん。


たとえ思ったとしても、キヨ君は優しいからそれを顔には出さないはず。



打つ手がないなら、自分の気持ちに正直になるしかないよね。



よしっ。