でも、手紙なんてなにを書けばいいの?


キヨ君に渡すって考えただけで、恥ずかしくて一気に顔が熱くなる。


なにこれ、ほんとに。


これじゃあまるで、わたしがキヨ君を好きみたいじゃん。


ちがうもん。


手紙は渡さないけど、気に入ったからレターセットは買おうっと。


ドキドキしながらレジに並んで順番を待った。


頭にあるのはキヨ君のこと。



毎日毎日、目が自然とキヨ君を追ってしまう。


後ろの席だから、前にいるキヨ君にどうしても目がいく。


最近、授業が手に付かないから困りもの。


ぼんやりしすぎて、先生に注意されることも増えた。


もうすぐ期末テストがあるっていうのにヤバいよね。


それを杏子に笑われる毎日。


あれほど高野くんでいっぱいだったわたしの心は、今はキヨ君で埋め尽くされていて。


なぜかなんて、そんなのはよくわからない。


気づくといつも視界にいるんだもん。



お店を出て駅に行こうとすると、ちょうど真向かいのお店から高野くんが出て来るのが見えた。



ひとりかな?


珍しい。


わたしは迷わず高野くんのあとを追いかける。



「た、高野くん!」