「花梨ちゃんってさ」
思わずぼんやりしてしまっていると、横目にキヨ君の顔が映った。
へっ!?
「わ……! ビックリした」
いつの間に入って来たの?
しかも、気配なく隣にいるし。
キリッとしたその横顔にドキッとする。
好きだって気付いてから、まともに目を見て話せなくなってしまった。
「またボーッとしてたんだ? 相変わらず、海斗のことになると他が目に入らないんだな」
フッと笑ったキヨ君は、わたしと同じように校門を見下ろす。
そして同じように高野くんの背中を見つめ、唇をグッと噛み締めた。
「まだ好きなんだ?」
「え? いや……」
ちがうよ。
今は……ちがう。
それなのに、否定できない。
それよりも、隣にいるキヨ君に意識が集中してドキドキする。