キヨ君にしつこく居場所を聞かれ、わたしは観念して素直に喋ってしまった。
そのあとすぐに電話は切れ、わたしは意を決して席へと戻った。
「大石さん、やっぱり帰ろう!」
「な、何言ってんの? ちょ、離してよ」
「いいからっ」
わたしは大石さんの腕を引っ張って立たせる。
そして財布から出した千円札を二枚、テーブルの上にそっと置いた。
「わ、わたし達はこれでおいとまするので……! さようなら!」
「ちょっ……何勝手なこと言ってんのよ」
わたしの腕を振り払おうとする大石さんを押さえながら、力任せにグイグイ引っ張った。
コウ君とヨリ君はポカンとしながらその光景を見ており、お店を出たあとも追いかけて来る気配はない。