「早くしろって」
糸みたいに細い目が、鋭くわたしを捉えてなんだか恐い。
唇を真横に結んでニコリともせず、無愛想以外の何者でもない彼。
なんでそんなに偉そうなのよ〜!
「ちょっと……今日はスマホを家に忘れちゃって」
教えたくないからウソをついた。
もうこれ以上、関わりたくもない。
「ふーん。面倒くせーから、じゃあいいや」
「…………」
め、面倒くさい……?
眠そうにあくびをしたヨリ君と話したのは、これが最初で最後だった。
あとはひたすら、コウ君と大石さんの会話を聞いていた。
気まずい中、再びトイレに立ったわたしは何気なくスマホを見て唖然とする。
なんでこんなに着信が……?
相手を確認するとーー。
「キ、キヨ君……?」
どうして?