トイレから出ると、大石さんがスマホで誰かと電話していた。
「えっ? 今? 鈴峰さんとパフェ食べてるところだよ〜! 海斗は?」
ーードクッ
電話の相手は高野くん?
ドクドクと鼓動が速くなって行く。
固まったまま動けなかった。
「え? キヨ君と一緒なの? うーん。パフェ食べてから色々行くところがあるし、今日は会えないよ。明日も家の用事があるからダメなんだ」
大石さんはわたしに気付くと、クスッと笑った。
そして、人差し指を口元にそっと当てる。
「明後日なら大丈夫だと思うけど、まだはっきりしなくて。キヨ君とカラオケにいるんでしょ?」
話の内容からすると、電話の相手はやっぱり高野くんだ。
「楽しんでね、バイバイ」
大石さんはスマホを耳から離すと、サッとスカートのポケットにしまった。