一応、礼は言っておく。
変人美容師でも、助けられたんだもん



「…………ふーん。じゃあ、俺にご褒美くれよ」


「ご褒美?」


「ああ、おれがあんたを助けた礼として、なんでもいいからくれよ」


「なんでもって言われても……」


「……じゃあ、身体で払う?なんて、嘘だよ。そんな顔するなよ、冗談だから。
うーんと、やっぱり俺のカットモデルとしてまた弄らせて!」

私は苦笑いをした。


身体で払うって冗談でも、言ってはいけないと思う。

なんでカットモデルになるの?


あんたのカットモデルなんて頼んでないのよ。

二回目なんてやらないわよ


「やりません」



「……じゃあ、本気で身体で払う?」


変人美容師は私の顔に近づき、髪を指で触れて、そのまま髪にキスした。