「おい、お前らやめろよ!」
背後から声がした。
後ろを振り返ると………
「誰だよ、お前」
変人美容師だった。
「あー?俺の彼女」
変人美容師は笑顔でそう言い、私の首に腕を回してきた。
か、彼女?
あなたの彼女になった覚えはないんですけど
「本当に彼氏か?彼氏に見えないんだけど」
そうよ
ボサボサ頭に丸い眼鏡の外見では、彼氏かと疑われるに決まってる。
「じゃあ、こうすれば分かるか?」
変人美容師は、右手で私の顎をくいとあげて、怖くて抵抗出来ない私にキスをした。
周囲の人は、うわー生キスだと言っている人もいれば
何も見ていないように立ち去っている人もいた。
そんなことより
キ、キ、キスされたーーー!
ギャーー、頭が回らなくて、状況を把握出来ないでいた。
「………」
男性二人組は、黙りこみなにも言わないで去っていた。
「はあー、緊張したー」
変人美容師は、男性二人組が去ったことを確認して、私の唇を離しその場に座り込んだ。