変人美容師は、椅子に座って、ビールを空けて飲み始めた。



私も開けて、飲み始めた。



変人美容師は、ジャージ姿でビールを片手に持って、右足を左足にのせて豪快に飲んでいた。



私は、その豪快ぶりにビールを一口飲み
目を丸くして見ていた。



それに気づいていたのか
「なんだよ、何か俺についてるか?」



ビールを飲もうと口に入れようとした時私に声を掛けてきた。



「いや、別に何でもないです」



「別になんでもなわけぇないだろう!その顔」



いや、そりゃそういう顔になるよ。

変人美容師の意外な一面。



別に見たくないのに、変人美容師が目の前にいるから見てしまう。



「本当に何でもないです」


変人美容師をきちんと見ると、ボサボサ頭が鳥の巣のように髪が整えられていなくて私は、ぷっと笑った。