その時、キンコーン、カンコーンと鐘が鳴った。
クラスはシーンとなった。
シーンとなる中で熊谷くんは言った。
「鐘、鳴りましたよ」
築地先生は、ムムムと堪えるように手に握っていた拳を振り払い、こう言った。
「皆も、遅刻はしないように。次の授業の準備怠らないようにね」
築地先生は、まだ怒っているような口調でクラスを去っていた。
私は、一旦職員室に戻った。
そして、私のデスクの隣は築地先生なので、話し掛けた。
「築地先生。さっきどうしたんですか。築地先生らしくないですよ」
「いや、ちょっとね。
熊谷くんは悪くないというのはわたし分かっているんだけど、遅刻とかそういう何回もされるとイラっとするのよね」
築地先生は、ため息をついた。
「そうだったんですか。
では、私が子ども達に築地先生のこと話しておきますよ」
「よろしくね、午前は授業頼んでいいかしら」
築地先生は、肘を机に置いてため息をつき、私に言ってきた。
「分かりました。任せて下さい」
私は、築地先生にそう言い、職員室を出ていた。