「んなわけあるかー!あんな変人美容師」
「本当かな?そう言って、好きになちゃったとか言わないでね」
「それはないから大丈夫!」
「ならいいけど」
店員がお待たせしましたと言って私たちがオーダーしたコーヒーとミルクティーが運ばれてきた。
望は、運ばれてきてすぐにあ、もうそろそれ行かなくちゃと左手首にしていた腕時計を見て言った。
11時半だった。
「え?まだ時間あるよね」
「ここから結構電車乗り継がなくちゃいけないのよ、ゴメンまた」
望は、一気にコーヒーを飲みほしてじゃあ、またと言って帰っていた。
私は、ゆっくりミルクティーを味わい
客を一時間ほど観察して喫茶店を出た。
私は、外の空気を吸い、深呼吸した。
それは、都会の空気と変人美容師がつけたワックスの匂いが私の中から広がってきた。
この時から、高木さんではなく、変人美容師と呼んだ。
何故か分からないけど、高木さんとはもう呼びたくなかった。
私の理想と本当の現実を見たくなかったからだ。