「あ?俺だよ。どういうことだよ」
「いや、変ですよ。どうしたんですか」
「そんなに変か?俺?いや、いつも通り平常運転だ」
高木さんは、ぶすっとしながらお酒を飲み進めた。
「…それで、望と倉田さんになにしようというんですが」
「……ただお礼が言いたい。ただ、素直に」
そう言ってただ呟き、お酒に注がれていたグラスを見つめていた。
私はその光景が高木さんは素直で優しい人なんだと。
いつもはひねくれて、腹立つことばかりの言葉しか聞かないけど。
恋人になってから分かる。
言葉じゃ伝えられない思いや感情を持っていて、でも高木さんは言葉で伝えるのが下手なんだ。
「…いいんじゃないですか。素直に伝えて見て」