思っていない言葉だったのか朝比奈は、目を丸くして瞬きをせずに私を見て某然としていた。
朝比奈はすぐ言葉を発して私につっかかてきた。
「いやなんでだよ。合コンしたいって言ってたじゃん。しかも、なんで取り消すんだよ!」
私は真顔で朝比奈に言った。
これは女性として、人生において大切な時期なのだから。
「…波は今大事な時期なの」
「大事な時期? はあ、なんだよ。それ」
不機嫌そうに朝比奈は、私に話しかけてくる。
無理もない。
「…波はね。大切な人をどう励まして。どう寄り添えばいいか悩んでいる最中なの」
大切な人?と呟いて朝比奈は黙り込む。
職員室には先生達が沢山いるが、物置になっている部屋にいるので周りに誰もいないのでいつもに増して静かだ。
「…そいつはもしかして波がすきなのか?」
「わからない。でも今はダメなの。どうしても」
「なんでだよ」
「…言えないけど」
ただ面白くなさそうに私を見て、頭の中で考えて考えた言葉を口に出した。
「じゃあ、俺はどうすればいいわけ?望
の言う通りに波に言わないでただ見守るだけかよ。はぁ? 馬鹿じゃねぇの。池脇先生の大切な人がいることは分かった。
でも、その人が池脇先生に気持ちがないのなら俺は行かしてもらうから」
朝比奈はそう言って、ドアをバンと乱暴に開けて出て行った。
やっぱり、ダメだったか。朝比奈の言いたいことも分かる。
でも、朝比奈、今日分かるよ。
あんたじゃ無理だって。