「よっ。元気にしてた?」

右手で手を上げて、陽気に話しかけてきた。
その右手は、前見ていたまっちゃんの手とは違う。
私を温めてくれる小さい手が大きい手に変わっていた。

「元気だよ」

私はコートを折りたたみ、椅子に置いた。

「なんで、俺は波を呼んだと思う?」
暑いのかまっちゃんは両腕に袖をめくっていた。

彼は真剣にまっすぐ前のめりで私を見てきた。

来た早々、その言葉か。

「……」

なにも発することができない。だって、
本当にわからないのだから。

「……ごめん。焦らすぎたな。返事早くなくていいから」

後ろによりかかり、まっちゃんは、はあと腕を組んでため息をしていた。

早く私に返事ほしいんだな、彼は。
でも、今は無理だよ。

私、自分がわからなくなっているから。

「……分からないの。自分の気持ちが」

心の中で思っていた気持ちが外に出ていた。
しかも震える声をふり絞って下に俯いて私は聞いていた。

「どういうこと?」
まっちゃんは、組んだ腕をそのままテーブルにのせて聞いてきた。