「照れてたんじゃないですか? 校長も」
私はクスッと笑い、岩沼先生に伝えた。
望は私を見て両手を上にあげて、こりゃダメだと呟いていた。
その意味は望にとって岩沼先生の悩みはそんなことじゃないと言っていたと思っていたが、あとで聞くと違かったみたいだ。
「あ、波。もうそろそろ行かないと」
望は、保健室にある時計を見て机で食べていた給食を片付け始めた。
いつも望は、早く食べ終わるのが早い。
男のように。
「ほんとだ」
給食を持とうとした瞬間、私のカバンから携帯のブゥという音がした。
「波。携帯鳴ってるよ」
「うん、分かってる。ちょっと待ってね」
私はカバンから携帯を開いた。
すると、まっちゃんからだった。
帰り際、まっちゃんから聞かれたLINE。
そのLINEが、私あてにきた。
今日、空いてるかという誘いメールだ。
私は携帯を片手で持ち、その場に固まってしまった。
「波。なんかあった?早く行こう?」
望は、ドアのそばで立って待っててくれた。
「池脇先生。誰からきたか、知らないけど、自分の気持ちだけは、はっきりさせておくことが重要よ」
岩沼先生は、分かってるんだ。
私の気持ちが、今迷路になっていることを。