岩沼先生と望は、楽しそうに談笑していた。

本当に楽しそう。倉田さんとちゃんと話せたんだな。

「望、楽しそうだね。なんか」

「え? そう」

「そうだよ。倉田さんと話できた?」

望は終始笑っていて、幸せそうだった。

「話できたよ。もう隠すことも何もないって望ちゃんにも聞いてほしかった。だから、俺と付き合ってくれないかって言われたの」

「え? すごいじゃん。そして、もちろん返事は」

望は、満面な笑みで

「おっけーしたよ」

「よかったね。望。今度こそは絶対長続きするよ」

私は望に近づいて、両手を握った。

「ありがとう」

「はあ、いいわね」
黙って、私たちの会話を聞いていた岩沼先生はそう呟いた。

「どうしたんです? なんかあったんですか?」

私は岩沼先生に尋ねた。
どうも様子が変だ。

顔色は良いが、お弁当をいつも持参してくる岩沼先生は珍しくコンビニ弁当で、
いつもにまして岩沼先生から発せられるオーラが感じられない。