「……はあー、簡単にそう言ってくれるね。告白でもしたの、もう?」
俺は、頭をかきながら旭を挑発するように聞いた。
旭は、首を振っていた。
「いや、してない。ただ、翔太がベニと親しくなって、俺焦って。だから、俺の気持ち翔太に伝えてから告白しようと思って」
こいつ、こんなこと思ってたのか。
いつも無口で、喋らないから何考えているかわからないから。
「……はあー。どうしたもんかねぇ」
俺は旭を見て、困った顔をした。
本当、俺にどうしてほしいんだよ。
旭。
真っ直ぐ俺の目を見て、真剣に伝えようとしている顔は幼い頃から見てきた俺にとって初めて見た表情だった。
真剣に伝える旭は、誰かと一緒にいたいという思いが強く感じられた。
それは幼い頃から見てきた旭とは違い、いつの間にか男らしくなっていた。
俺はこんな旭を見て、諦めた方が先決なのかと思えた。
でも、諦めたくないとさえ思った。