俺がそう言うと、あーと納得した様子で俺を見て、声を発した。

俺の顔を見たら、彼女は笑い始めた。

なんだ、俺なんかしたか。

「あはは、知ってます。同じクラスの倉田翔太さんですよね。いつも、仲良しの高木旭さんと楽しく会話してますよね」

彼女は、うふふと口に手を添えて笑って楽しそうにしていた。

俺はそれを見る度に、嬉しかった。

「……知ってたんですか」

「知ってますよ。同じクラスですし。ってか、敬語やめません?」

同い年なのに、緊張感からか敬語で話していた。

「そうですね」

俺は、敬語で彼女に言った。

「ほら、また敬語」

「あ」
口を押さえて、俺は目を見開いた。
彼女は笑って、俺を見ていた。

それは、夢を見ているようだった。

「「あはは」」

俺たちは、廊下の端で誰もいないところで笑っていた。

その時、二人の世界が広がっていた。
誰も見ていないと思っていたが、その影に誰かがいたことに俺は気づかなかった。