「恋人?」

「そう。吉岡ベニという恋人がいたの。
でも、男の子を助けようとした時に事故で亡くなったんだ」

「事故っていうのは?」

私は望が信じられないと唖然している状態を確認して、倉田さんに聞いた。

「……その男の子はね。いじめられていたの。いじめられてる現場を目撃した直後、助けてベニは亡くなってしまった」

「……」

「……」

私と望は、黙ることしか出来なかった。
なんて、返事を返せばいいかわからなかったから。

「吉岡ベニさんとは、どのようにお知り合いになったんですか?」

「……ベニとは、高校からの知りあったんだ。そうあの日から……」

倉田さんは悲しい表情というよりも、もう思い出したくないような前変人美容師が浮かべた複雑な表情と似ていた。


高校生の頃のことだ。

「旭、あの子、可愛くない?」

俺は、同じクラスの吉岡ベニが気になっていた。

今は昼休みの為、幼馴染の高木旭が2年2組に来ていた。

「……どこが?」