まっちゃんは暗かったが笑顔で私に答えているように見えた。

「あ、ここだから」
そんなことを話していると、私のアパートに着いた。

「ここか。じゃあ、またな」

まっちゃんがそう言いかけた途端

「池脇さん?」
誰かが私に話しかけてきた。

それは、髪がボサボサで丸いメガネをかけていた。

変人美容師だ。

「あっ」

変人美容師は、仕事から終えたばかりなのか、重たいカバンを背負っていた。


「波。こちらは誰?」

まっちゃんは私を見て、知り合いの人かと疑っているようであった。

「こちらは、へ…っごほん。えーと、私の隣の部屋に住んでいる高木旭さん」

私は変人美容師の名前を紹介したら、変人美容師はどうもと頭を下げていた。

しかも、興味なさそうに。
そんなんだったら、私に声をかけなくてもよかったのに。

「あ、はじめまして。私は、松岡良平と申します。波とは高校の同級生で……」

まっちゃんはまさしく紳士的対応で、変人美容師のそっけない態度にも笑顔で応じていた。

高校の控えめな彼とはやはり違う。
時が過ぎれば、人は変わるのね。

「波……?」

「あ、俺は波とは付き合っていたので」