「……俺たち、もっと話せばよかったんだ。でも、あの時のことだけは鮮明に覚えてる」
「なに?」
「波を全部奪った日」
なっ、こいつかっこいい顔してよくこんなこと言えるな。
本当に恥ずかしい。
「やめてよ。ここ外だから」
「波、俺もっと波に触れたい」
まっちゃんは、澄んだ目で私を見て私の手を握ってきた。
「……っまっちゃん。やめて。ここ外だからさ」
「波、俺とまたやり直してはくれないか?」
私は彼の澄んだ目から目が離せなかった。
「……やり直すって」
「……今は答えなくていい。ただ、俺のことを少しでも考えてくれると嬉しい」