望は、これだから……と言いかけて口を閉じた。

私はその様子が変だったので、聞いた。


「どうしたの?」


「いや、なんでもない」


望はそう言ってから、職員室に戻っていたら、朝比奈に声をかけられていた。


私はまずこの状況を頭で整理したかったので、トイレに行った。



「田中、池脇先生から聞いてなかったのか、元カレについて」

職員室から出てきた朝比奈は、不機嫌そうに私に聞いてきた。


はあー、私はどうしかしたんだろうか。


波が元カレいたっていう事実を知って悲しい気持ちになっているのは……


しかも、朝比奈に恋のアドバイスをするとは。他人の恋愛なんて、どうでもよかったのに……


「……知らなかった。そこまで、過去の恋愛について話してなかったし……」

「マジかよ」


朝比奈は、カツカツと靴の音を立てて私の方まで来た。


「あ、さっきの約束忘れないでね!」