おもい腰を持ち上げ財布をポケットに入れて出かける準備完了。


マンションをでて道端でタクシーを止めて指定されたBARを目指す。

季節は夏。
8時台でもまだ少し明るい。

道中タクシーの窓から流れる街をぼんやり眺めていた。

仕事以外で外にでるの久々だな。

到着し、下車するとそこは小洒落た小さなBARのまえ。

こういう場所にがてかな。

そんな思いを抱きながらドアに手をかけた。

少しなかを伺うようにドアをひらくと
中から甘い香りと共にピアノの音が聞こえた。

店の奥を見ると一台のグランドピアノ。

生演奏なのか。

ところで祐樹はどこだろう。
店内を見回すと隅っこでおれに向かって手を振る男がいた。

「隆ちゃん!こっちこっち」


と、笑顔で手招きしている。



「もー急すぎるよ。」

「ごめんごめん。たまにはいいじゃん。」

「なんか…落ち着かないなーこういうところ。」

俺はどっちかというと居酒屋とか大衆的なとこがいい。

「今日は俺のおごりだから好きなだけ飲みな。」

はじめからそのつもりだ。


数時間、他愛のない話をしながらグラスを傾ける。

仕事の話や真面目な話だってした。

徐々によっぱらってきたのか相葉さんの顔は赤くなって行く。

俺も体が火照ってきた。

こうなるとダメだ…眠くなってきた。

「ね…もう俺ねむい…」

バックミュージックのピアノの音色が子守唄に聞こえてくる。

「こんなことで寝ないでよ。もう帰ろっか。明日も仕事だし。」

「わーってる…」

とかいいながらカウンターに突っ伏す俺。

後ろでゆうきが何かいっているのが聞こえる。

酒と疲労で眠気が最高潮な俺はそのまま引きずられタクシーに押し込まれたようで気づいたら自分のマンション前だった。