一ノ瀬さんが外に出て行った後に、もう一度話しかけてくる常連さん。
「真城さんが雇った子だからね、きっと良く働く子だろうね。」
「私の目に狂いはないですよ」
本当に仲が良いんだな。
真城さんに恥かかせないように、頑張らないと。
「こんなじぃさんだけどな、仲良くしてくれると有り難い。」
「はい、こちらこそよろしくお願いします!」
なんだか優しい口調で親しみやすさがあって、
ずっと前から知り合いだったみたい。
他のお客さんがお会計で、
まだ仕事の出来無い私じゃなく真城さんが向かう。
あ、すっかり忘れていたけど常連さんに挨拶したほうがいいのかな。
「あの、改めまして今日から働くことになりました波純と申します。」
「波純さんか。私は樫尾です。
私のことは親しみを込めて、
おじさんでも好きに呼んでくれな。」
そういう常連さんは、おおらかに笑っていたが...。
「ですが、お客様ですので...」
「気にするな、細かいことは。
真城さんもいいって言うさ、きっと。」
こういう場合は、どうしたらいいんだろう。
お客さんだし、馴れ馴れしくするのは失礼だし。
かと言って、常連さんだから気を悪くされて来なくなってしまうかもしれない。
「わかりました、樫尾さんと呼ばせて頂きます。」
「うん、よろしくね」
優しく微笑む、樫尾さん。
気に入ってくれたのかな?
気を悪くされた感じじゃないし、よかった。
「波純さん、そろそろいいかな?
仕事の説明と紹介しますね。」
「はい、今行きます!では、樫尾さん失礼します」
真城さんに呼ばれたので、一礼してその場を離れる。