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家から駅方面まで歩いて30分程度。
10時にとの事だったので、9時過ぎに家を出た。
現在、9時45分。
思ったより早めに着いたけれど、早くても大丈夫かなともう一度時計を見た。
指定時刻ぴったりだと遅いから、
丁度良いくらいな方だと信じながら息を吐く。
お店の前でポケットからバッグへと、携帯を移動させる。
靴紐を解けてないか見てから、openのボードが下がった扉を押した。
「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ。」
「おはようございます、今日からこちらで働かせてもらえる事になった波純です。」
コロンコロンと、鈴の音がなって入った店内。
面接に来た時はいらっしゃらなかった男性の店員さん。
働く上で先輩にあたるので、失礼のないように挨拶をした。
よろしくお願いします、となるべく笑顔でお辞儀した。つもり。
「おはようございます。あ、聞いてますよ。
僕は一ノ瀬(イチノセ)です。よろしくお願いします」
ピシッと背筋が伸びたままの、丁寧な45度の礼で挨拶されて。お手本にしようと決めた。
ペコペコと慌てて頭を下げる。
「真城さん呼んできますね、掛けて待ってて下さい。」
「すみません、お願いします。」
カウンター席の椅子を引いてくれて、お礼を言って座らせて貰う。
面接の時に通された奥の方へと、一ノ瀬さんが消えていく。
すると暫くして、談笑しながら真城さんと一緒に客席スペースに出てきた。
すぐに立ち上がって椅子を元の位置に戻してから、真城さんの方を向く。
「おはようございます、今日からお世話になります。」
「おはようございます、波純さん。
こちらこそ、お世話になります。」
真城さんにも綺麗なお辞儀を見させてもらちゃって、姿勢を正して私もお辞儀した。
「じゃあ早速ですが、着替えてもらって仕事の説明しますね。こちらです。」
はい、と返事をして真城さんに案内されるまま奥へと進んだ。