真城さんから電話があった日の夜。
珍しい人からも、電話がかかって来た。
愛海からだ。
いつもはメッセージだったから、何だか新鮮で照れくさかった。
『もしもし、今大丈夫?』
丁度、9時を回った頃にそういって、かかってきた。
「大丈夫だよ、久しぶりな感じするね。元気してた?」
『ありがと、確かにそうかも。元気だよ。』
なんとなくだけど、いつもの愛海じゃない気がした。
元気がないっていうか、明るい感じじゃなくて変に落ち着いている。
「なんかあったの?」
『どうして?なんもないよ。
咲、元気にしてるかなーって、気になってたの。』
気にしてくれているのは、素直に嬉しかった。
メッセージだけじゃ、伝わらない事もあると思うし。
声を通してじゃないと様子とか、気持ちとか本当に伝わらない気もする。
「声に元気ないなって、思ったから。
私も気にしてたよ。体調崩してない?」
『大丈夫だよ、ありがとうね。
でも最近、疲れてるかもしれない。』
本当に、そういった様子だった。
無理したり遠慮して、疲れてるって言わないと思ったけど。
気を遣わずに話してくれた事が、不謹慎だけど嬉しかった。
「そっか、無理しないでね。
また愛海に元気貰いたいから、風邪なんかひかないでよね。」
凄く心配だけど。
私なりに元気づけたつもり。
『そうだね、私も会いたいかも。
たくさん話聞いてよ、嫌になっちゃうから。』
愚痴りたいの、ってふざけて言う愛海はいつもの調子で安心した。
他にももっと話をした気がするけど、ただ楽しくて。
コロコロ話題が変わって、会った時の話が無くなるって笑いあった。