「愛海に…。」
愛海という名前から、メグとも呼ばれていた。
あの子と私と愛海、いつもその3人で遊んでいた。
「あぁ、澤井がよ。
この前、お前見かけたんだって。」
「私を…? 」
問い掛ける私に、千堂は答えた。
なぜ、そう言う前に言葉を続ける千堂。
「南町に行ったら、咲を見たって。
久しぶりだったし、顔も良く見えなかったって自分で言うのに、
『絶対、咲だ!』って言っててよ…。」
千堂がいろいろ説明してくれたが、今の私には聞えて無かった。
それくらい衝撃で、まさか南町に来ていたなんて思いもしなかった。
「そっか、愛海が…。」
愛海との別れは、"最悪だった"
と言っても間違いではないだろう。
喧嘩別れ。それがピッタリだ。
「詳しくは分からないけど、お前に謝りたいって。
折角戻って来たんだから、連絡してやれば?」
千堂のお節介な所は変わっていない様だった。
お節介、お人好し、世話焼き、そんなやつ。
「うん、わざわざありがとう。
連絡してみるよ、近い内に。」
近い内と言った私に、まだ何か言いたげだったが事情を察したのだろう。
それ以上、千堂は何も言わなかった。