ベンチに戻って、携帯を見る。


着信は本当にお母さんからのメッセージで。

もうとっくに、1時を回る時間になっていた。


そろそろ帰ろう、部屋の片付けもしたいし。



買ったばかりのルームシューズを早く履きたい。時計も飾りたい。


幼い頃、新しいおもちゃを買って貰った時の様に、何だか凄くワクワクする。


また好きな物が増えて嬉しい。




やりたい事もたくさんある。


あの本をもう一度読み直したい、とか。


あのヘアアレンジを試してみたい、とか。




気になる事もある。



好きな歌手のまだ聴いていない新曲、とか。

朝テレビで紹介されていた新作の映画、とか。


そして、バイトの面接の結果、とか。



面接の後、採用の場合は面接の日から3日以内に連絡する。

と、カフェ責任者の真城さんが言っていた。



まだ3日も経っていないけれど、気になっている。


気になるのは普通だと思うけれど、私は見たままソワソワしていた。


気にしない様、思い出す度に何か別の事をして気持ちを紛らわす。


ずっとそれの繰り返し。




気になる事は、可笑しい事ではないだろう。
逆に気にしない方が可笑しい、とまで思う。


なのに、誰に見られているのでもないのに、気にしてない風を装う自分がとても笑えた。