"地味な性格も治せるかもしれ無いね"って前向きに言っていた。


私の考えを押し付ける事になってしまうけど、少し勿体無いなと思ってしまう。


彼女を思っての言葉なのも何となくわかる。

けど彼女の真剣さも見ていたから、何とも言えない気持ちになる。


真剣だったからこそ、周りの否定が痛かったのかもしれない。



「川中さんならどの道に進んでも、一生懸命頑張れるよ。きっと。」


無意識に出た言葉だけど、紛れもない本音だ。


「だよね!川中ちゃん、素直で優しいいい子だし。どんな事にも精一杯取り組むとこが、長所だもん」


たまに八つ当たりの延長で、悪く言われる事もあった川中さんだけれど。


その優しくて明るい性格は、基本的に好かれるものがあった。



「心配だけど、川中だしな。まぁ、乗り切るだろ」


だからこうやって、心配されたり応援だってしてくれる人がいる。


……勿論、私もその一人だ。



特別、仲が良い訳でも無い私にまで良くしてくれた。

裏表がある人と一緒にいるよりよっぽど。いや比べるべきでは無いか。


一言では言い表せない程、本当に良い子だった。




________。



2人は他の同級生の事も、色々教えてくれた。

前は西町あったお店が、今は違うお店になってる、とかなんかも。


ずっと話していたから、気付いた時には結構いい時間になっていて。


そろそろ、お開きにする?って話になった時だった。



あと一つだけ、と千堂が口を開いた。


「中二ん時、頼んだあれ。覚えてるか?」


恐る恐る、そういった感じに私に問う千堂。



「え?何か頼まれたっけ。」


千堂に頼み事をされた覚えなんてなくて。


逆に私がしたんじゃないか、と聞きたいくらいだ。


どれだけ考えても心当りがないそれを、私はもう一度思い出そうとする。



「いや、覚えてねぇならいいんだ。
悪いな。大した事じゃねぇから、忘れてくれ。」


返ってきたのは、歯切れの悪い返事。


私に聞いた事の返事に対して、少しも期待の色なんて見せなくて。


あたかも、私の答えを知っているかのような振る舞いだった。


その間、愛海は何も言わずに、私達の様子を伺っているだけで。


……なんだか最近、はぐらかされる事が増えた気がする。




そんな微妙な雰囲気のまま、今日はお開きになったのだった。