「私は全然いいよ。
便利なら、使わせて貰うよ。」


後半は勿論、ふざけて言った。

そして携帯を出しながら、千堂の反応を見た。



「いや、俺便利屋じゃねーし!
使うも何も、なんもねーからな!」


ナイスなツッコミ具合で、冗談をかわしながら千堂もブルーの携帯を取り出した。


愛海はと言うと、私達のやり取りを見て今も尚、ケラケラ笑っている。



「でも、本当に。
困った時とかは、私でも千堂でも連絡してね?」


あ~、可笑しかった~。と言った後、半笑いのまま愛海は言った。



「うん、わかった。ありがとうね。」

そこで連絡先の交換が終わり、千堂は注文して それぞれの話で盛り上がった。


2人は街中でばったり会った時から、連絡をとるようになったそうだ。


愛海は、保育士を目指して専門学校へ。
千堂は、近くの大学へ。


夢を叶える為に頑張っているみたいだ。



「咲は?大学とか専門学校に行ってるの?」

そう言えば聞いていなかった、と愛海が言う。


「私はね、働くつもりなの。
今ね、面接して来た所だよ。無理そうだけどね」


苦笑いの私に、何とも言い難そうな顔の2人。

そんな空気にしたかった訳じゃ無いのにさ。



「別に私、あの夢を諦めた訳じゃないよ?
今はその時で無いだけ」


少し安心した顔をした千堂と愛海だったけど、やっぱり感情は隠しきれていなかった。