携帯がピコン、と鳴る。

愛海からのメッセージだった。


『10分くらい遅くなりそうです、ごめんなさい』

ちょっと畏まった、遅刻の知らせ。


『わかった。連絡無くても10分くらい気にしないのに。』

すぐにそう返信したものの、全く気にしない訳でもない。


連絡があったから…ね?

気にはしないけど、連絡が無ければやっぱり誰でも不安だから。


連絡が出来ない様な、仕方の無い状況だって知っていたとしても、心配なのに。


事故にあったのかな?とか、そこまでじゃ無いけど。
忘れられてないか、とか心配になる。



こんな事ばっかり思っていたら、愛海に会うのが嫌みたいになっちゃったけれど。


ちゃんと楽しみだったし、会えるのもすごく嬉しい。

実はさっきはあんな風に言ったけど、今日の服装は思いっ切り気を遣ってる。(あんまり似合ってないけど)



同年代の人と、出掛けるのは何だか気恥ずかしい。

友達がいない訳じゃ無いけど、年上の知り合いの方が多いから。


気を遣わなくて良い筈なのに、落ち着かないと言うか。

人と、同じ物の事を話すのが苦手で。よく変人だ、って言われる。


趣味が合う人と、趣味の話ばかりするのが苦手で。

趣味の話しか出来ない状況が好きじゃないだけなのに、よく誤解されるしね。


いつ頃だか分からないけれど、母には"前はお喋りだった"って言われる。

興味があるなし関係なく、いつも喋っていたそうだ。


なんやかんやで、10分は経つ頃になった。