「こんにちは、波純さんですね?
では、そちらにお掛け下さい。」
私の前で椅子に座る、人当たりのやわらかい笑顔の女性が言う。
アオさんに会ったあの日から、数日が経った。
今日は例の面接の日。
"最初の印象が大事だ"と電話で母が言っていた通りに、
滅多に穿かない上品なスカートで来た。
普段は結ばない髪を、少しアレンジしてみたり。
……なーんて。身なりを整えても、内面は変わらないから意味無いけどね。
お店に入り店員さんに案内して貰い、通された部屋に居る。
優しく話す女性は、真城(マシロ)さんという方だ。
このカフェの責任者さんだそうで、お店を開いたのは夢だったからなんだとか。
ちなみに、店長さんはいない…らしい。
(真城さんが、そのポジション?)
「じゃあ早速、質問をして行きたいと思います。」
___________________。
何個かの真城さんの質問に答えていたら、ふいに思わぬ質問をされた。
「好きなお菓子は何ですか?」
あれ………?
「タルトとか、ケーキですかね…?」
ふわふわした突然の変わった質問に、戸惑いながらも答える。
「はい、以上で終わりとさせて頂きます。
何か質問はありますでしょうか?」
特にないと答えたものの、さっきの質問は何だったのか…。
カフェの面接ってこんなものなのか…?
カフェで働くのは初めてだし、よくわかんないけど、取り敢えず大丈夫かな。
結果は、まぁ抜きとして。
無事、面接を受け終える事が出来た______。